(終) √yūto #09 無性愛 / Psychopath -後篇-

-放課後-



「友人…ゴホン、陸咲君、まだ残っていたのですか?」


主役の登場だ。



『ええ。僭越ながら先生に進路相談に乗って頂きたいと思って。』


さぁ、どー来るかな?



「何を今更…もう進学は決まっているだろ?
 それに相談なら家に帰ってからでもいいだろうに…

  だが、ココで二人きりってのも悪くない。



そう来ると思った。



『ええ。ですが先生は進学先の先輩でもございますし、
 ソレに先生は人気者だから中々聴けない事もあって。


  本当に皆さんにはお優しいんですね、先生。


 ボクが知ってる先生は夜になると吠える"狼青年"なので、
 皆さんが羨ましいです。


  ボクにも優しくして欲しいなぁ…。』



カチッカチッと秒針の音が5回鳴った。



「陸咲君、"はい"か"いいえ"で答えて欲しい。
 優しい先生は、キラいかい…?」



"『はい。』"



彼は机と共にボクを押し倒した。


『いいでしょう、夜の教室での"課外授業"は。
 きっと先生にとっては堪らないシチュエーションですよね?』



生徒に手を挙げる姿の先生もステキです。


いつもお世話になってる御礼に、
今日はとことんサービスさせてください。


あ、もう忘れてると思いますが、
顔や首はナシとのお約束も忘れて何卒ご遠慮なく。


お気の済むまで好きなだけ遊んでください。


幾らでも新しい制服は買えるので、
汚してもビリビリに破いて頂いても構いません。


どうぞ欲望のままに貪り尽してください。



そして先生の名前
"眞白"血だらけにしてください。



真っ暗な校舎、
廊下の常時灯が照らす薄暗い教室で、

ボクは祝福紅白体液で汚された。


無論、汚れきっているボクは
コレ以上汚された所で何も変わらない


そしてもうコイツの身には

"潔白"などない。



「先生からも陸咲君にプレゼントがあったんだ。

 ご覧、綺麗に撮れてるだろ

  君と僕との想い出がいっぱいの写真たち。


  さぁ先生はコレを何処へ持って行くべきか…

  "友人"、答えろ!!」



先生が悪趣味な事は知っていましたが、
まさか盗撮の趣味まであったとは知りませんでした。


せっかくですがこのお写真も、

ボクにとってはもう必要ありません



『先生、プレゼントならもう頂いています。

  先生…いや、
  眞白さんから分けて頂きました


 先日病院で診察を受けたのですが、ボクは

  "カラーレス"という珍しいRGBでして  

 その属性は何やら、

  成長期が遅いのが特徴だとか。


 身体の成長のためには本来輸血が必要だったのですが、
 父があらゆる手段で同じ血液を捜してくれたものの、
 生憎保有者が少ないので満足に補えませんでした


  先生も頻繁にご体調を崩されるので、
  他人事とは思えず心配していたんです。


 "粗探し"には苦い想い出があるので、
 他人にはするまいと心に決めていたのですが
 心配の余りに不労者の如くゴミ箱を漁ったんです。


 そしたら先生が良く口に含んでいた薬の
 空のパッケージを見つけて驚いたの何のって。


  "ニアリ・イコール"

  アレって免疫抑制剤ですよね?


 実はコレでもボク、医師を夢見ていた時期があったんです。


 先生はボクに傷み"だけ"を分けて頂いたご様子でしたが、
 不本意ではあるものの同時に先生から

  命に大事なモノまで頂いてしまいました


  ソレが以前お褒め頂いた、
  立派に成長したボクの身体です。


 ボクに不足していたRGBを余す事なく頂いちゃったみたいで、

  先生には心から感謝しています。


 でも指導者である先生が、

  幾らご自身が哀しいからとはいえ

 "コード・シックス"を

  無差別に移してしまうなんて…


  まるで犯罪者
  いや、殺人鬼さながらの行為ですよね?


  大丈夫です、ご心配には及びません。


 公にすれば、その写真に映った哀れな姿

  ボク自身も笑い者です。


  ですが流石に、
  父には泣きつこうかなと…』



時計の針が0時を指した瞬間、

彼が口を開いた。



「ふん…身体どころか随分口まで達者になったな…


 でも先生にとって愛する一番の生徒のキミに、
 最後に指導しなければならない事がある。


  友人、余り大人に逆らうと

  ガキは殺されるって事をね!!」



彼はズボンの後ろポケットに忍ばせていた

刃物を取り出した。


刃物を握る両手は、無様な程に震えていた。

このヒトも本当に"可哀相なヒト"だ。



『先生、もうゲームオーバーなんですよ。


 ソレに殺されるのはボクじゃなく

  早乙女眞白さんあなた自身です


 でも既に真っ黒なあなたにとっては喜ばしいでしょう。


  ステキなお名前通り

 "真っ白"な存在になるのですから。』




ボロボロの制服を身に纏い、

ただ只管に泣き叫ぶだけの

狂い果てた化け物を置いて、ボクは去った。


人目を避けながら遠くただ遠くへ歩いた

気が付けば繁華街の路地裏でボクは倒れていた。


幼い頃に帝都に来てからというもの

やりたくもない事をずっとやらされていたとはいえ

らしからぬ思い切った遊びをしてしまった…



園長先生、

ボクは先生の下を離れて正解でした。


真の"疫病神"は、

やっぱりボクだったんですから。



そしてまた誰かがボクを呼んでいる。



"捨てる神在れば拾う神あり"


さて、今度拾ってしまうのは誰かな?



汚れて色を失くした"疫病神"を…。


そしてまた、

「アッチ行け!」って蹴られるんだ。



って、オイ…

 (  -=・=- _ -=・=-  #)

言った傍から蹴られるとか…;



だーかーらー


『ィ…テェょ…』



- Then, the main story of △TRIGONOMETRY began... -