√yūto #06 洗脳

翌朝、目覚めると

眞白さんが出掛ける支度をしていた。



「おはよう、今日は起きるの早いね。」


屈託のない笑顔の眞白さんは、いつもの彼のままだった。


少しぎこちないないのはボクだけである。

だって…だって…そりゃ…ね。。。

幾ら保健の授業で習っていたとはいえ

あんな所から何で白い、、、自粛。



『えーっと…今日は何時頃、お帰りですか?』


壁に向かってボクが尋ねると、

彼は支度をやめボクの背中を抱き締めた


「寂しがらない様に早く帰る…
 だから今日もイイコで僕を待っていてくれ…」


そうボクの頭を撫でながら言い残すと、

彼は慌ただしく出掛けて行った。



何なんだこの感覚…。

ココ最近、目まぐるしい勢いで起こるのは

ボクにとって"初めて"事態の数々


そうだ、判らないなら図書館へ行こう

外に出るなとは言われてないし…

アソコなら本も買わずに勉強も出来る一石二鳥だ。



-2時間後-



フッ、到着。


遠いよ…

って違う、公園の丘を越えればすぐだった

ただボクは眞白さんと歩いた道しか知らない

うん、ホントにソレだけだ。


あ~モジモジ、、
先ずはトイレトイレ。。。


手は爪の中までしっかり洗いましょう


そして身嗜みを整え…

…アレ?少し背ぇ伸びた??



ヤッタ━━ヽ(☆∀☆)ノ━━!!!!



…ってあんま変わった気しないケド;


やっぱり眞白さんの言う通り、

ボクは着実にオトナへの階段を上っている!!



テンション上がった所で勉強勉強

医学書の辺りだなきっと。

ドレだ?コレか? 何々"妊婦の体内ではxxx"いや違う

んーと、"心臓のパイパスをxxx" 多分コレだ


ドキドキ動悸、バカ言えボクを舐めるな。

ソレに伴う息切れ、違う。

毛細血管が多い顔面には紅潮が、違う。

くぁwせdrftgyふじこl、。。。


違────う!!!! ハァ…ハァハァ…



図書館じゃなくて病院…かな;


『すみません、この本貸して頂きたいのですが。
 あと、この近くに病院ってありますか?』



-移動-



海懐会総合病院…。


あぁ、パパのお友達のお家ね…。

ココはマズい、このまま帰ろ。



ココら辺は住宅街かぁ。


歩いてると色んな発見があるなぁ。

あ!ネコ!! あ、待って!

酷い…"シャー!!"だなんてあんまりだよ(泣)



ってぇ!マズい…


今日は眞白さん早く帰ってくるって言ってた

急がなきゃ;

もし眞白さん帰った時ボクが居なかったら



「飼い犬に噛みつかれたか…

 この野郎…警察に突き出してやる。」



じゃないない!!


眞白さんはそんな事言わない第一そんなヒトじゃない、

でも心配させたら申し訳ない。

ダァ──ッッシュ!!ε≡≡ヘ(*≧□≦)ノ



「友人?」



ビクッ…噂をすれば。。。


『お疲れ様です。あ、ちょっと図書館で本を…
 ほらボク、学校サボってるのでマズいと思って。ハハ;』


呆れた様に微笑んだ眞白さんはボクと手を繋いだ


『ちょ、外ですよ…やめてください;』


と言っても誰もが兄弟にしか見えないorz


「帰ろう。今日はクリームシチューだ。」


大好物です!めっちゃ大好きです!!

大好き…好き…



…好き?…



「今日は友人にも手伝ってもらおっかな。」


すみません、、出来ません。。。(恥)


夕焼け空の下、

ボクら以外、誰一人も現れなかった帰り道は

まるで世界がボクと眞白さんだけになったみたい

何かちょっと不思議な気分だった。



『眞白さん、眼鏡もう大丈夫ですか?』


「あぁすまん、いいよ。電気消してくれ。」


眼鏡を取った眞白さんの顔って、

みんな見た事あるのかな?

視力悪いんだな…勉強のしすぎだよ;

眼鏡を外したらボクの事も見れないのかな?

だとしたら、なんかちょっと寂しいな…



「寒くないか?」


そんなに気を遣ってくれなくても充分すぎる位


『とても、あったかいです…。』



ヒトの温もりを知ると離れられなくなる


だからボクも、彼から離れられない…




「ただいま…」



『お帰りなさ…』アレ、どうしたんだろう?

眞白さん、いつもより酷く疲れている。


部屋に入るなりコートを投げ捨て

眞白さんはそのままベッドに横になった


『具合、悪いんですか?』


手を当てると少し熱っぽかった。



「大丈夫大丈夫、ちょっと風邪っぽいだけ。
 良く効くっていう薬も買ったし、すぐに治るよ。
 すまん、コップに水を入れてきてくれないか?」


眞白さんは薬を飲むと、ボクを布団の中へ引っ張り入れ

いつもより強くギュッとボクを抱き締めた。

何かイヤな事でも遭ったのかな…。



『眞白さん、ボクが言うのも変かも知れないですが
 何か遭ったのならボクで良ければ話してください。』



少しでも眞白さんの役に立ちたかった

素性も知らないボクを

何も聴かずに迎え入れてくれた眞白さんに

ボクも何かをしてあげたかった



「ありがとう。じゃぁお言葉に甘えて、
 僕の傷みを少し、キミに分けてもいいか?」



彼が何と戦っているかは判らない。

けれどこんなにも身を削って大学で勉強をして

きっと楽しい事だけではないとボクは思った。

ボクだって眞白さんみたいに没頭していたら

きっと楽しい事だって疲れてしまう

だから今日の答えは簡単に言える。



『はい。勿論です。』



ボクが答えると、

眞白さんは温かい眼差しでボクを見つめた。


そして瞬く間に冷たい眼差しに変え、

ボクの服を無理矢理脱がし始めた。



『ちょっと!冗談やめてください!!

 お酒でも飲まれたんですか!?

 落ち着いてください眞白さん!!!!』



彼は無言のまま、やめようとしない。
眞白さんが大きな身体を押し付けて
強い力でボクの両腕を掴む



「直ぐ終わる。痛いかも知れないが、
 ソレまで声を漏らすんじゃない。」



コレが彼との二度目の過ちだった。




本当の善人などは決して存在しない。


そう、ヒトの関係は対価で成り立ってるんだから。


"イヤだ"とかそんな事、

金で恵まれた奴らには判らない

愛に恵まれた奴らだけが言える唯のワガママだ


ソレにボクは、逃げようとする度に

一つ一つ鎖が増やされ身動きも出来なくなるんだ。


誰かに言える訳がない。
誰かに助けてもらえる訳がない。


弱みにつけ込まれた人間は

その弱みを他人の弱みにつけこむ

その無限のループがボクに繋がっただけだ。



でも園長先生、先生のお陰でやっと判りました。


"正直者はバカを見る"って事を。



結局ボクは今でもペット。飼い主が変わっただけ。


でも今の飼い主は遊んであげた分だけ
ボクにもちゃんとエサを与えてくれる


そしてボク自身も健康で居られる

もう他に何も要らないぐらい幸せですよね。



園長先生、
こんなボクを赦してくれますか?


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