√yūto #02 人形

ボクは陸咲友人(くがさき・ゆうと)

陸咲財閥、陸咲玄之助の長男。


しかし、父は居ない。



帝都のこの屋敷に来てからは何度も逃げようとした

でも逃げられなかった

だって帰れる場所なんて他になかったんだから…。


ボクの恐怖朝食から始まる

使用人から厳しくけられたテーブルマナー

少しでも間違えたら怒られるのはボクではなく

ソレを教えてくれたヒトだ。


そしてボクはそのヒトから恨まれる

ボクの過失は総てボクの教育をした者の責任

次々に入れ替わる中で、ボクは口々に彼らに脅された


"下品な捨て子"、"いつか殺してやる"、この"疫病神"めと。



もう春だと言うのに外出時にはコートを着せられて

お寒くないですか?と尋ねられる。


ボクはいつもこう答える。

『とっても寒いです。』



外で園長先生みんなと遊んでいた頃が懐かしい。

この季節は園庭に咲く桜の花が凄く綺麗で、

先生が突然「お花見だーっ!」て教室に入って来て

桜の木の下で給食を食べたっけ。



ボクの一日は朝から寝る前まで決められている

その多くは下校と共に始まる


ヒステリックな先生とのピアノのレッスン

意地悪な家庭教師との勉強

書道茶道三音文化ローテーション

英会話独語グローバリー

これらは時間制限あるだけまだマシ



一番苦手なのは、ママ灰混兄さん


ボクはママ着せ替え人形で、

毎日子供じみた派手な服を着させられ

お陰でいつも学校では笑い者


独占欲の塊で、

他の女性にボクを絶対に触れさせない

そして縫いぐるみの様にボクの身体を愛でる



そしてボクは兄さん奴隷


両親からの寵愛を取ったボクを恨んでいる

兄さんの失態をボクにされるは当たり前

少しでも弱みを見つけに勝手にボクの部屋に入っては

机の引き出しやゴミ箱まで楽しそうに漁っている


園長先生たちとの想い出のアルバムも、

黒のマジックペンで落書きされた

この前コッソリ買った漫画

パパにバラされてボクはお仕置きをされた


泣きべそ掻いてるボクを見ながら

いつもうれしそうに兄さんは笑うんだ



小学部の門の前で、

みんなが遊びの約束を交わして

楽しそうに帰っていく姿を見ながら

ボクはずっと毎日変わらない

そして変えられないローテーションの渦の中に居た。




中学部になって14歳の時だった。



ママそろそろ自分で服を買いに行きたいと言った。

無論、血相を変えられその要求は届かなかった。


体育の着換えの時が凄く恥ずかしいので

せめて下着だけは選ばせて欲しいと頼んだものの


「まだまだ友人はお子様なんだから」と、


ブランドだけがオトナの、白ブリーフを渡された。



兄さん夜な夜なコッソリ屋敷を抜け出しては、

朝コッソリと帰ってくる

毎晩その手助け強要させられる

その手助けとはボクが使用人にチップを渡す

自分のお金は好き放題使って帰ってくる。


まぁいいや、どうせボクも他に使い道ないし。



どんどん成長していく周りを見ながら

未だ小学生の様な自分劣等感を抱いていた

冷やかしたり子供扱いする周りの気持ちが判る。

ただボクは歳を重ねているだけで、

背も低く、身体は子供のまんまなんだから。


次第にボクも兄さんと同じ様に

下校時にチップを渡して色んな事をサボる様になった

反抗期というよりはストライキに近い。


思春期が始まった同士たち操る先生たちも大変だ。

常に俯瞰して周りを見ているボクに、

お疲れの先生がボクにポロッと愚痴を吐いた事もあった

ボクも家に帰りたくないので、

弱みにつけ込んでそのまま先生の家に泊まったりした


案の定この事が大騒動になったものの、
総てお金が解決してくれた。



けれど、ママからは折檻を喰らった

徐に服を脱がしたボクをバスルームに投げ込み

シャンプーボディーソープ

蓋を開けて全身に掛けられ

冷たいシャワーを何時間も浴びさせられた



「汚い!汚い!」と、

 罵声を挙げられながら。

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