√kyo #01: サラブレッドカーペット

"私を解いた、私に解けない問題が在る…"


私は海懐響(みなつき・きょう)と申します。


気取っているとかで、

少々絡みづらいとも言われますが

それは私がヒトに対しての関心が特にないからです。


自身の一族は代々医系であり、

は医師会長は臨床医

は父の医師会病院で副院長を務めており、

私も代を継ぐべき者として現在母国を離れ、

独律連邦共和国(ドリツ / 独国)の大学に在学しております。


主に人体に於ける、

"プライマリー"と呼ばれるものを研究をしているのですが

何やら新たなプライマリーが在るとか無いとかで、

自身が通うタンジェント大学では議論が絶えません。

無論、各々が実しやかに述べる程度で、

結果も出せていない状況ですから

これ以上余計な犠牲者を出すのもどうかと…


失礼、少し口が滑ってしまいました。

どうかこの件はご内密に。



幼い頃から両親の都合で世界各国へと振り回されましたが、

私が成人した事を機に、母国の三音に戻れと…本当、勝手な人たちです。


正直、独国では退屈していました。

仲間同士とも建前だけの関係で…

いや、寧ろそのほうが私にとってはラクなのですがね…



この創られた世界の人たちには三つの章というものがあります。

△=トリゴ≠=ノット、そして×=クロス

そうそう、皆様の世界では

マイナンバー?というモノと似ていると言いますか

出生直後に特殊な技術により瞳にその"章"照射し、

虹彩認証を可能にするIDの様なモノです。

私達トリガーの凡そ9割が△章(トライシンボル)ですが

両親が大罪によって処刑された孤児に充てられ

×はデータ管理下のこの世界では居るか居ないかの出生不明な際に充てられます。

≠は致し方ないとはいえ、実生活では×の方も苦労されるかと思いますね。


そしてスフィアの皆さんの血液型は

主にA,B,Oの3つに分類されていると学びましたが、

私達が"血液"と呼ぶものはC,M,Y,Kという主に4つの属性に分けられた、

"RGB"と呼ばれる体液が混ざり合って成立しています。


スフィアの方々にも”RH-/AB"という保有率の少ない血液型があるそうですが、

私達の世界で上記の型に相当するものが"Y"と謂われています。

こちらの医学的では、私たちの身体に"Y"は殆ど必要のない型とされています。

更に近年では"Y"の派生から生まれたとされている、

私達トリガーの中でも極僅かな"カラーレス"という型を保有する者も居ます。

因って"Y"という属性は私達にとって無くても困る、そんな存在でしょうか。


すみません、専門学であるとついつい熱が入ってしまいますね…



話は戻りますが、私はこの家系に生まれてからというものの

ただレールに乗って走って来ただけの人生でして、

不満な事等も特に感じた事がありません。

なのできっと他人に対しても余り関心が湧かなくなったのでしょうね。


唯、私は次男として生まれたので、

常に兄と比較されては幼い頃から兄に対してずっと嫉妬をしていました。

そしていつしかそれが確執となっていたのです。


物心ついた頃から会話を交わした事もなく、

実の兄であるという認識すらも次第に薄れていきました。

見下される事には慣れたからです。



母国へ戻る飛行機の中、そんなほろ苦い記憶を振り返りました。