√sora #03: 髭の生えたOL・夢見る玉の輿

帝都はやっぱりすげー。


ゴチャゴチャしてるし目が痛くなる程キラキラしてる。

うわー田舎もん丸出しだなぁ。。。



でも世知辛いのは事実で、

やっと決まったバイトは居酒屋の夜勤。

当然、住む所も

安心アピールが胡散臭いサラ金で借りて入居した。


今時、寮付きの仕事なんて数知れてるし、

理由はどーであれ、念願の独り暮らしだし。


もー夢みたーい♪♪


って、夢はコレから掴むんですがね。。。



やっぱり結構地方から集まってる連中が多くて、

バイト先でも夢持って帝都に来た同士が居る。

少なからず心強い。


そして知り合いが皆無なので扱いやすい。



「晴田さん、良かったら今度一緒にライブ観に行きませんか?」


晴田"さん"ね…。


そんな歳変わらない癖に態々"さん"付けてまで

オッサン扱いする様な事はやめて頂けませんか?


『…空でいいよ(笑) 誰のライブなの?』



「ライブって言っても帝医大の文化祭で、

 ギターがすげーらしんです。

 しかもソイツ、医師会長の息子とか何とか…」



ライブはどーであれ、

速やかにその"大病院の王子様"なる方とお近づきになりたいと思い、

お互いの身内の誰かを不幸にした上で、いざライブへ。



-帝都医大正門前-


『ココ…入るの??』


「学祭なんすから空くんでも大丈夫ですって!ほら!!」


どーゆー意味だよおんどりゃ…


しかし…本当にオレにとっては無縁の世界だな;

きっと、どいつもコイツも金持ちで優秀で、

何の苦労もナシにやってきたヤツばっかなんだろうな。


『でもさ、何でお前ココの連中と知り合いな訳?』


ちょっと不思議そうな顔して、

バイト仲間が吹きやがった。

吹きやがった。

オレを。


「音楽に学歴は関係ないっすよ(笑)

 俺も一応、国立通ってましたけど辞めちゃいましたからね。」


さり気に自慢する所が如何にも"自称:元インテリ"っぽい。


「もう始まってるんで急ぎますよ!」


扉を開けた瞬間から轟く重い音に少しビビった。

文化祭とはいえ、キッチリと客のノリを攫んでいた。


「今歌ってるボーカルがオレの高校ん時の後輩なんです。」


『へぇ~。(フンッ、個性の欠片もない声でガナリやがって)


「で、右に居るギターが例のアイツです!」


指差したステージを見ると、

何やらタルそうに弾いてる感じの悪そうなヤツが居た。


「来ますよ!ギターソロ!! うわっすげー!!マジやべぇ!!!!」



正直、歌しか歌えないオレには、

楽器の事なんて良く判らなかった。


でも隣に居るコイツや周りのオーディエンスの視線

一瞬にして鷲掴みにして魅了する、そんなスター性が羨ましく思った。



-ライブ終了後-



「俺、ちょっくら顔出してから行くんで先帰っていいですよ?」


ちょっと待て、バカかお前は。ダメダメ、スマイルスマイル。

『オレも付いてっていいかな? ちょっと感動しちゃって!』


通路で見覚えのある顔の奴と擦れ違った。


「あれ? kyoさん帰っちゃうのかな…」


『そのkyoさんって、さっきのギターの人?』



「そーっすけど? あ!!ちょっと何処行くんすか空くん!!!!」



待てぇ…

待てぇ…

逃がさないわよ…

追い付いてみせるわよ!!!!



『痛ぇっッッ…』

急に止まるなよバカ…まぁいい、一先ず捕獲した。


響:『大丈夫…ですか…?』


な訳ねーだろ、鼻が曲がったらどーしてくれんだまったくもう!

空:『平気です(笑)すみません、オレ、スゲー感動しちゃって
   どーしてもソレだけ言いたくて追いかけちゃいました…』


ソレ だ け ではない。


響:『ありがとう。今日が最後だったからうれしいよ。』



え…?



品よく会釈して立ち去ろうとする獲物の肩にジャンピングタッチ。

空:『最後ってどーゆー事なんですか!? ギター辞めちゃうんですか!?』


オレの悪い癖が出てしまった。

彼を少し困らせてしまった様だ。


響:『うん、これから少し忙しくなるからね。

   でも帰国してから少しの間だけでも、こうして遊べて楽しかったな…』



一体何者だ。。。



でも、何でだろう…ちょっと悲しそう。


いやいやダメダメ、初対面で突っ込んだら元も子もない;

そーだ…ココは一先ず。。。


空:『あの!オレ、晴田空です!! コレ、オレの名刺…
   kyoさんのギター、オレ好きです!辞めないでください!!』


ダァァァーッッε=ε=ε=ε=ε=(o。>_<)o


ん~我ながら完璧。印象付けバッチリ

あとは、連絡来る来ないにせよココは一歩引いて様子見だ。



響:『ドリツ人も凄かったけど三音人はやっぱり凄いな…』



なんて思われていたとも露知らず、

ソレからまたバイト且つ営業活動の日々で

いつの間にか彼に名刺を渡していた事も忘れていた。